コーヒー、ブラックで

ブラックコーヒー。

大人なな響きだ。

 

 

「コーヒー、ブラックで」

初めてそれを言った日、成人式以上に大人の階段を

登った気分だった。

階段二段飛ばしだ。

 

大学に入って、最初に気になった子とカフェに行った時だ。

僕が二段飛ばしをして、踏み外しかけたのは。

いや、わかっていた。

でもその子が先に

「コーヒー、ブラックしか飲まないんだ」

なんていうから。

 

選択肢がなかったんだ。

 

出てきたカフェのオリジナルコーヒーは

深煎りのブラック中のブラックだった。

 

苦い。苦しい。

 

だれなんだ、最初にコーヒー飲んだやつ。

豆煎って粉にしてお湯で抽出した

こんな苦い液体よく飲もうと思うよな。

意味わかんないよ、まったく。

 

そういや、こんにゃく作ったやつもすごいよな。

あの工程、どうやったら思いつくんだ?

あく抜きしないと食べらんないのに。

よっぽどコンニャクイモ食ってやりたかったんだろうな。

 

あとキノコとか。

見た目きもいうえに生で食えんし。

そのうえ高確率で毒があったりする。

食える種類発見するまでに何人おなか壊したんだろう。

 

 

なんて考えだして、もう会話なんて一つも入ってこなかった。

 

散々なデートの中で唯一覚えているのが、

相手の子が元カレといったカフェのコーヒーが

すごくおいしくて忘れられない、

という話。

 

 

やはりコーヒーは苦い。